Excess Earnings法(超過収益還元法、エクセスアーニング法)とは、 無形資産評価における収益アプローチの一手法で、対象事業が生み出す収益のうち、 評価対象となる無形資産以外の貢献要因(運転資本、有形固定資産、労働力など、いわゆる 「Contributory Assets」)に帰属する収益を控除し、残余として算出される「超過収益」を 現在価値に割り引くことで、当該無形資産の価値を評価する手法です。

計算プロセス

標準的な計算プロセスは以下のとおりです。

  1. 対象事業の将来キャッシュフローを予測する
  2. 事業に貢献する各種資産(Contributory Assets)を特定する
  3. 各Contributory Assetに対する適切なリターン(Contributory Asset Charge)を算出する
  4. 事業の将来キャッシュフローから、Contributory Asset Charge合計を控除し、評価対象無形資産の超過収益を算出する
  5. 適切な割引率で超過収益の現在価値を算出する

Multi-Period Excess Earnings法(MPEEM)との関係

Excess Earnings法の実務的な発展形が、Multi-Period Excess Earnings法(MPEEM)です。 これは、複数期間にわたる超過収益を予測し、それぞれを現在価値に割り引く手法で、 現代の無形資産評価実務における中心的な手法の一つとして広く採用されています。

適用場面

Excess Earnings法は、以下のような場面で特に有効です。

  • 事業の中核となる無形資産の評価(顧客関係、技術、ブランドなど)
  • M&A取引における主要無形資産の購入価格配分(PPA)
  • 無形資産が事業の主要な収益源である場合の評価
  • のれん(Goodwill)と他の識別可能無形資産の切り分け

長所と限界

本手法の主な長所は、対象資産の経済的実態を直接的に反映できる点です。事業の将来キャッシュフローと 他の資産への帰属を明示的に切り分けることで、評価ロジックの透明性が高くなります。

一方で、Contributory Asset Chargeの算定にあたって複数の仮定を要するため、評価者の判断による 変動余地が大きい点が限界です。また、計算プロセスが複雑であり、結果の説明には十分な準備が必要です。

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